スポーツクラブ日記 -30ページ目

責任者を出せ!

フロントスタッフが困惑した顔で、僕を呼びにきました。
「マネージャー、すいませんが会員様がお呼びなので、出ていただけませんか?」

別にこんなことはよくあることです。
気軽に
「すぐに出ます。」

出ようとすると、フロンとスタッフが、
「あの~、退会手続きなのですが、上のものにさせろと言われたので…。」

最近、この手のクレームというか対応要求が急増しています。
すぐに、
「上のもの出せ」

内容的には大したことではないのですが、クラブの責任者を呼ぶことが、自分を偉くさせるというかプライドを維持させるようです。
確かに僕たち責任者は、呼ばれた以上、出て行く義務があると会社でも定めています。
しかし、退会や入会の手続きやクラブの案内全てに責任者を要求されては、仕事になりません。

また、「上のものを出せ」ということにより、現場のスタッフにプレッシャーを与えることにもなります。
僕は日ごろから、
「自分が自信を持って判断したり、会員様がルールやマナーを守られていない場合は、毅然とした態度でのぞむように!」
「但し、自分たちの失敗や間違いに対しては、素直に謙虚に受け止め謝罪すること」
と伝えています。

ですから、いくら責任者の僕が出ていったところで、ほとんど現場スタッフと同じことをお伝えするだけです。
当然、スタッフの失敗や間違いには、謝罪と指導のお約束をします。

1年ほど前だったか、
「社長を出せ!」
といった本が出ており、人気があってパート2も出ていました。

最近は、上のものを出させることで、自分を正当化させる人が増えてきたのでしょうか?


また、

警察の権限

本日、盗難が発生しました。
盗難と言っても、会員様の不注意から発生したもので、クラブとしても苦しい対応となります。

会員様の話によると
「運動が終わりタバコを吸うために喫煙場所に行った。その時に財布やタバコが入っているポーチを持って行った。タバコを吸い終わって、ロッカーに戻ってすぐに気が付き、喫煙場所に戻ったが、すでになくなっていた。ポーチには数十万円が入っている。なんとかしてほしい。」

すぐに僕たちも現場を探したのですが、当然のことながら見つけることはできず、まずは警察に被害届を出してもらうようにお願いしました。

警察はすぐに来て、現場検証のようなことをしていただき、所定の手続きをするだけで、どうしようもないというのが現実でした。

それもこれも、今話題となっている個人情報保護法が大きな要因です。

会員様のおっしゃる通り、ポーチに数十万円が入っているとするなら、会員様を取り調べする必要があると思います。
しかし警察は、クラブ側に来館者名簿提出を、法的に求めることができないそうです。
もし、クラブ側に来館者名簿の提出を強要し、会員様を取り調べをしたとします。
誰か会員様から、警察にクレームがあり、個人情報保護法を盾に責められると対応できないらしいです。

僕は時々警察の権限のなさに疑問を感じることがあります。
最近の事件を見てもそうです。
犯罪者の人権を守るような法律が、どんどんできています。
これで本当に良いのでしょうか?

今回、ポーチを紛失された会員様は、自分の不注意もありクラブ側に責任を求められることはありませんでした。
しかし、数十万円が入ったポーチが紛失したことは事実です。
この事実に対して、クラブ側も警察側も、特に何もできないのです。

消費者や犯罪者ばかりが強くなる世の中に、疑問を感じます。
僕個人的にではありますが、もっと警察の権限を強くして、世の中の取り締まり強化をしてほしいと思います。

月会費未納

スポーツクラブの売り上げは、ほとんど全てが月会費と言っても過言ではありません。

しかし、不景気の影響もあってか、銀行引き落としでも「残高不足」による月会費未納が増え続けています。
スポーツクラブ側にとっての、大きなダメージになりつつあるのは、言うまでもありません。

十数年前までのいろいろな習い事は、月謝袋たるものがあり、その月謝袋にお金を入れて受付で支払い、その袋を受付がご本人に返すという方式が多かったのです。

実際その方式がなくなってきたのは、月会費未納の多発です。
本来いただくべき人数の80%台が通常だったのです。
そこで、銀行引き落としにすることにより、回収率を高めようとスポーツクラブ業界で流行ったのです。
銀行引き落としに疑問を持たれる方もいらしゃると思いますが、実は銀行引き落としにはお金がかかります。
しかし、そのお金を使ってまでも、回収率を高める方が、はるかに売り上げ確保につながるのです。

現在、僕のクラブでは90%後半をキープしています。
しかしそれでも、毎月50名以上の方が未納となり、そのうちの半分くらいの方はお金を支払われずに退会されたり、行方不明になられたりします。

クラブによって規定は違うと思いますが、だいたい3ヶ月間月会費を未納とされた方は、規約退会という形でクラブ側で退会処理をしています。

月会費未納は、スポーツクラブに大きな打撃を与えます。
たまたま、銀行にお金を入れるのを忘れてしまい、残高不足になってしまうのは仕方のないことだと思いますが、常習犯になったり、そのまま行方不明になることのないように、お願いしたいです。

不倫騒動に巻き込まれる

スポーツクラブにダイエット、健康増進、筋力アップ、水泳技術向上、エアロの楽しみ等々、健全な目的でこられている方にとっては、ちょっと信じられまいかもしれませんが、スポーツクラブは意外と不倫騒動に巻き込まれるのです。

本日23時半頃、会員様のご家族からTELがありました。

奥様
「会員の○○の妻ですが、うちの主人は、まだそっちにいる?」
フロント
「いえ、もうこちらにはいらっしゃいませんが…」
奥様
「まだ、家に帰ってないんだけど、何時頃出ましたか?」
フロント
「申し訳ございません。それはちょっとわかりかねるのですが…」
奥様
「えっ、どうして答えられないの?本当はうちの主人は、今日そっちに行ってないんじゃないの?うちの主人をかばってるの?」

TELを受けたフロントスタッフは、意味がさっぱりわからなかったようですが、
すぐに僕に変わって伺ったのですが、奥さんがご主人さんの不倫を疑っての確認電話だったのです。

スポーツクラブは、意外と隠れ蓑になるのです。

例えば、不倫相手とホテルに行ってシャワーを浴びても、スポーツクラブd浴びたように言えばわかりませんし、プログラムに入ってるように見せかけて、どこかで不倫相手と会っていても、安定した時間を稼ぐことができます。

また、多くのスポーツクラブでは、来館時間を確認していても、退館時間はあまり把握していません。よって、今回のようにご主人さんをかくまっているような印象を与えて、誤解を生むことがあります。

不倫騒動にお付き合いして時間はもったいないのですが、立場上間に入らないければならないことが多くなっています。
先月も、スポーツクラブに不倫相手を連れてきている時に、奥さんが待ち伏せして、現場をおさえられた会員様がいらっしゃいました。

ほんとにスポーツクラブも、いろんなニーズにお答えする時代なのでしょうか?

休会制度の廃止

皆さんの行かれているスポーツクラブには、休会制度というものがありますか?

休会制度とは、スポーツクラブの会員ではあるが、何らかの事情で短期間クラブに通うことが難しくなった方のためにできた制度です。
今でも、休会制度を行使しているクラブはありますが、徐々に廃止傾向にあります。

通常、休会制度を適用させるには、また通常会員意復帰することが前提です。
しかし、最近は復帰をされない休会会員がどんどん増えています。

「休会しているのだから、別にお金は必要ないでしょ」

という声も聞こえてきそうですが、クラブの管理システムとして、休会会員にも経費が発生しているのです。

例えば、
休会会員のリスト作成
復帰月の確認DMや連絡
月会費請求のストップを関連信販会社へ連絡

と挙げていけば、いろいろ出てきます。
その上、そんな経費をかけているにも関わらず、退会されていく方が後を絶ちません。
ちなみに、僕の持っている資料では、休会会員様の半分近くが退会となります。

本来、休会制度というのは、あってしかりとは思っています。
しかし、この不況下の中で、意味のある休会制度であれば継続するのですが、より経営が厳しくなるものは、削除せざるをえません。

いつも僕は思うのですが、会員様が皆、約束を守っていただければ、このような廃止につながることはありません。
クラブとして残念なのは、本当に必要な制度が、制度を守られない方のおかげで廃止しなければならないことです。
クラブとしても、喜んで会員様を困らせる制度と作ったり廃止したりはしません。
心無い会員様のおかげで、本当に必要な会員様にご迷惑をかけてしまうのです。

退会される方からすれば、退会してしまえばそれで終わりかもしれまえせん。
しかし、その行動により、現在の会員様やこれから会員様になられる方に迷惑をかけているのです。

スポーツクラブといえども、公共施設ではなく、私的な企業なのです。
企業である以上、利益を追求せざるを得ません。

会員の皆様が、節度ある行動をしていただきたくお願いしたいです。

署名活動の有効性

スポーツクラブに入られていて、クラブ側への要望に対する署名の依頼をされた方や署名活動をしているのをご覧になられた方がいらっしゃると思います。

クラブ側として、署名活動をされることに対しての制限は基本的にできません。
また、署名に対して受け取る義務はあるます。
しかし、署名に対して対応する義務はありません。

こう書くと冷たく聞こえるかもしれませんが、内容によって効果もマチマチです。
以前、僕のクラブでもいろんな署名活動が、盛んになりました。
ある会員様が、クラブ側が決めたことに対して、消費者センターに相談した時に、そのセンター所員からのアドバイスがきっかけでした。

消費者センターのアドバイスというのは、クラブ側が決めた事項に対して、不満があった場合に、クラブ側と話し合う場を設けるための、ひとつの手段であるという意味なのですが、相談をした会員様は、その署名がクラブ側の決めたことを覆す手段であると認識されたことにより、混乱が生じました。

また、署名活動主導者により、関係のない会員様にまで影響を及ぼすことがあります。
主導者の会員様は、自分の意見が正しいと考えてされているのですが、他の会員様も主導者の意見に賛同しているかは微妙なことがあります。
その署名が盛んになった時も、
「○○さんが無理やり署名にサインをするように言われたので、サインをしたのですが、署名がクラブ側に提出された際には、自分の名前を消しておいてほしい」
といったものや、
「○○さんが怖いので、サインをせざるを得なかった」
といったものは、たくさんクラブ側に入ってきたのです。

昨日の日記で書いたのですが、物事に対する感じ方や認識、常識は人によって違います。それを理解されていないことが明白です。

また、署名の有効性としては、何名の署名を集めることができるかも、1つのポイントとなります。
もちろん、前述した無理やりサインをさせられた方がいないことが前提になるのですが、通常、会員様の半数は必要です。
3,000名のクラブであれば、1,500名前後の署名が必要です。
基本的にこの数字は不可能に近いと、経験上思います。

自分の考えを正当化したい気持ちは理解できますが、署名という形でクラブ側に折衝をしたところで、書名による有効性は、ほとんどないと思っていただいた方が、いいかと思います。

自分では、安全確認してるつもりでも・・・

現在のスポーツクラブのほとんどは、プールを標準装備していると思います。

プールでのルールやマナーは、アスレチックジムに比べて非常に多くなります。肌が露出していることによる怪我やプールの水質に関わるもの、プールサイドでの怪我、水中では一歩間違えると「死」至る可能性があるといったように、アスレチックジムと比較しても、はるかに危険性が高いことが要因です。

先日3名の会員様より、ご意見のお手紙をいただきました。
「プールで泳いでいる時に、急にコースを変えたりコース間の移動を水中でする男性がいる。監視のスタッフにもっと注意するように指導してほしい」

すぐにプールの責任者と監視スタッフに確認したところ、
「その男性は監視スタッフの間でも有名で、以前から注意をしているが、一向に聞く耳を持ってくれない。」
ということでした。
そこで、私が直接その男性にお会いしてお話をすることにしました。

本日、その男性とお会いできました。
早速、他の会員様からのご意見とプール監視スタッフの判断をお伝えして、ルール上、マナー上の両面から見て、プールでの急なコース変えやコース間の水中移動をやめていただくようにお願いしました。

しかし、その男性の言い分は
「自分は水泳をしている歴史は非常に長く、泳ぎも上手である。きっちり安全管理もしているので、心配には及ばない。」

男性の言い分はよくわかります。
しかし、自分の安全確認に自身を持ちすぎです。マナーは、人それぞれの思い込みや感じ方が違います。
要するに「人それぞれ違う」という認識をしていただきたいのです。
僕自身も、自分で正しいと思って判断したり行動したりすることはあります。
しかし、その判断や行動が絶対正しいかというと、人によって見方が違います。

最終的には、「違う」という認識を持っていただくことできませんでした。
「自分が絶対正しくて、その意見を言ってる会員や見てる監視スタッフがおかしい」という一点張りでした。

僕としては、クラブで決めているルールやマナーを守っていただけないようであれば、申し訳ないですがご利用を制限させていただかなければならない旨をお伝えしました。
その男性の方にご理解をしていただくことが必要ではありますが、クラブを統括する上で、いたし方ない結末となりました。

今後、様子をみていきます。

個人情報保護法

平成17年4月1日から、個人情報保護法が施行されます。
この対象として、スポーツクラブが大いに取り上げられています。

スポーツクラブは、個人情報管理が非常に難しい業種なのです。
例えば、会員になると個人のファイルがあります。
クラブによっては、見ようと思えばいつでも他人のを見ることができます。
これは完全に個人情報保護法違反となります。

また、ご家族や友人の方から、「○○さんきてる?」と電話で聞かれたりします。
これまでは、お答えしていたのですが、これも個人情報保護法に違反となります。

この個人情報保護法施行に向けて、スポーツクラブ内でも対策のための問題定義や解決方法、マニュアル、レクチャーとさまざまな準備をしなければなりません。
また、会員様にもできるだけ情報提供し、ご理解を求めなければなりません。

会員様からすれば「○○さんとは仲良しだから、電話番号教えて」とかいわれて、お断りするのは、逆にクレームとなるかもしれませんが、責任者が禁固刑や罰金になることを考えれば、お断りするしかないと考えられています。

セクシャルハラスメントも同じなのですが、この個人情報保護法も、自分の情報を開示された時に、「嫌な思い」をしなければ、訴えられることはありません。
しかし、いつ何時、問題になるかもしれないことに対しては、万全に対応するように会社からも指示が出ています。

難しい時代になってきましたね。

家族会員

どこのスポーツクラブといっていいいほど、家族会員という会員種別があります。
この家族会員の定義は、
「生計をともにしている同居者」
というものがほとんどと思います。

その定義は別として、本日家族会員様からクレームの電話をいただきました。
「私と主人とは、10年以上前からこのクラブに通っているのだが、主人が体調がわるくなって、休会にすることにした。でも、フロントでそれを伝えると、個人会員と同じ月会費になるらしい。納得いかない。家族会員月会費の半額にするべきでしょう。」

家族会員というのは、通常個人会員よりも割引しています。
例えば、
個人会員 1万円
家族会員 1万8千円(2名)
となっており、家族会員の場合1名あたり9千円になります。

しかし、これは家族として会員になられて、1万8千円いただくことによる割引です。
クラブの考え方としては、家族会員の場合
1名    1万円
2名目から 8千円
という考え方をしているのです。

ですから、どちらか1名が休会された場合は、1万円いただき個人会員と同じ月会費となります。
例としてよくないかもしれませんが、スーパーでも2個100円という商品があったとします。それを、「2個100円なら1個50円だから1個ちょーだい」といっているのと同じ感覚です。
スーパーも2個買っていただくことを前提にして割引をしているのです。

早速、直接お会いして説明をしました。
最終的にご納得はしていただけなかったのですが、こういったケースでのお話をするのは初めてで、これまでもこういったケースでの対応はしていないことや今後検討するということで対応しました。

検討といっても、なかなか検討しづらい内容です。

高年齢化による打撃

近年社会問題として挙げられている「高齢化社会」がスポーツクラブ業界にも波紋を投げかけています。

本来、高齢化社会も見据えた業界として、順風満帆のはずがどうしてなのでしょうか?

実はスポーツクラブは、経営試算をする際に、毎日の利用率や滞在時間を考えて、クラブのキャパであったり経費を計算したりします。
昔からこの計算方式はあり、どこのクラブでもあるものです。

しかし、昔と今とたった10年の間に大きく変化が起きているのが、会員様の平均年齢です。
ただ、平均年齢が上がるだけなら問題ないのですが、現実は問題が発生してきているのです。

その問題とは、まず利用率です。
だいだいどこのクラブでも、1週間に3回程度来館されることを予測していました。あくまで平均なので、1週間に1回の人や毎日の方もひっくるめてです。
しかし、高齢化することにより、いわゆる現役引退組みで元気と暇があり、毎日来館される方が増えてきたのです。
また、利用率だけでなく、元気と暇があるために、滞在時間も延びてきました。

この利用率が上がり滞在時間が延びると、水道光熱費やその他消耗品が増える上に、現場にいる会員様が増えているので、スタッフの人数も増やさざるを得なくなり、経費が大幅に増えるのです。
経費が増えたからといって、社会状況上会費を値上げすることもできず、八方塞になっているのです。
しかも、スポーツクラブは商品販売と違い、ある程度会員数が増えればキャパ(ロッカー数、シャワーブース、スタジオ、ジム、プール等)にも限界があり、込み合うとクレームにつながり、びっくりするほどの会員数になったりしません。

結局、売り上げは上がらない上に、経費は増える一方なのです。

数年前から、プロショップでサプリメントの販売を強化したり、売り場自体を拡張したり、有料プログラムを入れているのを気づかれていた方もいらっしゃると思います。
今でも、「利益を上げるために、こんなセコイことばっかりして!」とのご意見もありますが、決して利益を上げるためにではなく、赤字解消のために、なんとか会費以外の売り上げを確保しようとしての努力です。

スポーツクラブは本来、会員様の会費が全ての売り上げです。
余裕の黒字クラブでは、ほとんどそんな活動をしていません。
悲しい話しですが、もし自分のクラブで会費以外の売り上げを上げる活動を必死にしているクラブは、本当に経営が厳しいクラブです。

僕個人としては、それを責めないでいただきたいです。